タックスリターンの全体像
一見すると面倒くさいですが、留学生のタックスリターンはボリュームが多いだけで複雑ではありません。
やるべきことは基本的に以下の通りです。(T1 Generalという書類の完成がゴールです!)
- 課税収入額を計算する(1)
- 国税と州税の納税義務額を計算する(2)
- (1)と(2)の差し引きを計算する。
- 必要書類を添付してCRAにレポートする。
学生の場合に要注意なのがESLです。学校からT2202Aが発行されないESLプログラムの場合は、タックスクレジットに利用できません。タックスクレジットは納税義務額に影響を与えます。労働時間に制限があるので学生の間は特に差はないですが、卒業後にカナダに残って労働すると$1,000以上も返還される額に差が出てくる場合があります。早くアカデミックプログラムに進むと節税にもなりますよ。
Tax Return
タックスリターンの柱になるT1 Generalは以下のように構成されています。
各ステップで入力していく数字の正当性を証明するために必要に応じて別の書類も添付します。
タックスリターンに必要な書類は政府のサイトからダウンロードできますし、シーズンになれば郵便局などでも入手することが可能です。
Step 1: Identification and other information(個人情報)
どの項目も入力ミスがないように気を付けてください。
Step 2: Total Income(総収入)
普通は雇用収入を(101)に入力し、最後のボックス(150)に同額を入力して終了です。
もし雇用以外での収入があれば忘れずに記入します。学生向けのケースを想定しているので触れません。
Step 3: Net Income(純収入)
課税が免除される項目を総収入から引いていくステップです。
Step 4: Taxable Income(課税収入)
通常、留学生は記入する項目はありません。投資や投機で損失を出した場合に利用します。
Step 5: Federal tax(国税)
国税はSchedule(1)を使って計算します。
Step 6: Provincial or Territorial tax(州と領土税)
州税はForm 428を使って計算します。州別にフォームが分かれているので注意!
Step 7: Refund or Balance owing (返還額・未払い額)
Step 4の合計からStep 5と6の合計を引きます。また、CPP等で過払い金などがある場合、申請すれば返金されます。最終的な数字がマイナスになれば税金が過払いになっていることになります。逆にポジティブになっている場合は未納分があるということになります。返金は銀行口座に振り込みをしてくれるので、振込先の記入ミスがないように気を付けてください!
モデルケース
缶斗夢君は2018年1月から正規留学でBC州の大学でスポーツサイエンスを学んでいます。週に16時間程働いていたので定期的な収入もありました。2019年2月になり雇用主からT4を受け取ることができました。学校の自分のアカウントからT2202Aをダウンロードし、初めてのタックスリターンを自力でやってやろうと息巻いているようです。
【T4】
Employment Income: $11,300
CPP Contribution: $460.00(過払いになっています!)
EI Premiums: $190.00(こちらも過払い!)
Income Tax Deduction: $670.00
【T2202A】
Tuition: $18,000
Part Time: 4 months
Full Time: 8 months
CPPの計算式: (雇用収入-3500)× 4.95%
EIの計算式: (雇用収入)× 1.66%
※CPPとEIの過払いはStep7(448,450)で調整します。
※過払いがあればSchedule 8(CPP用)、 T2204(EI用)を添付します。
※2019年のCPPレートは5.1%、EIレートは1.62%です。
T4とT2202Aに加えて以下の書類をCRAのオフィスに送ることになります。(Cantomはこれまで郵送してましたが、今年からオンラインに切り替えようかと思ってます。)
T1 General
2018_T1_Rev01T1 Schedule 1(国税)
2018_S1_Rev01Form BC428(州税)
2018_BC428_Rev01T1 Schedule 8(CPPの過払い)
2018_S8_Rev01T2204(EIの過払い)
2018_T2204_Rev01T1 Schedule 11(学費:国用)
2018_S11_Rev01T1 Schedule 11BC(学費:州用)
2018_S11BC_Rev01Form BC479(消費税の一部返金)
2018_BC479_Rev01Cantom
まとめ
お疲れ様でした!どうだったでしょうか?結構ボリュームがあったと思いますが、過払い金の返金申請や消費税の返金申請などの重要トピックも突っ込んであります。恐らく「知らなくて損した!」とはならない有益な情報になっていると思います。あと、タックスリターンでCRAに送った書類のコピーは絶対に記録として残しておくようにしてください。
長期的にカナダに滞在することになったら他にも節税のテクニックがあります。TFSA, RRSP, Tax Credit Transfer, Depreciationなど、$1,000単位で差が出る節税テクニックは学生にはほぼ無縁なので別の機会にでも。以上、本記事が留学中の役に立てば幸いです!
EIやCPPの過払いも還付対象になるのを、長く住んでいるのに恥ずかしながら知りませんでした。。。めっちゃ勉強になりました!
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